使わせる気がない制度か?自立支援医療制度


私の母は精神病だ。それも老人性鬱とかじゃなく統合失調(旧名:分裂病、いわゆる基地外、無意味な言葉狩りで当事者が理解できない病名付けてどうするかと小一時間...)である。
といっても、人を刺すとか火を付けるといった攻撃的なタイプではない。ただ皮膚感覚に強烈な幻覚が生じるだけで、電波が聞こえるとか言う妄想は全く無い。
事件起こしてニュースに出るようなのは氷山の一角で、大多数はたいして危険でないのだろう、ということは実物を知って初めてわかった。
とはいえ、幻覚のため長く起きあがっていると緊張による疲労が著しく、生活のための日常行動が困難な状態である。
どういう訳かこの幻覚は背中で最も強く、背中全面に圧力がかかっていると、つまり寝ていると軽減されるからである。
正確には寝ていなくても、例えば後ろから誰かに抱きつかれていると軽減されるという不可思議な現象である。
困りごとなのでこういうのもなんだが、理系研究者の目で見て面白い現象ではある。
これについての観察記は、法ネタから外れるので別にまとめておく。
結局、起きあがると辛いからといって食事を極度に手抜きするようになった結果、やせ衰えて入院する羽目になった。
その後は、3ヶ月の入院ののち退院して介護ヘルパーの支援を受けながら暮らしている訳だが、老人の特権で1割負担とはいえ通院時医療費も結構な出費である。
担当ケアマネージャが気の利く人で、自立支援医療制度というのがあるのを区役所から聞き出して来てくれた。
精神科の通院に限り医療費の自己負担分が公費補助されるというありがたい制度である。
額は通院のタクシー代に比べれば焼け石に水だが、幻覚による心労に老人の僻みが加わって「通院なんかしても金と時間の無駄だ、早く死にたい」という心理になっているだけに、ささやかな奨励制度も有効なのだ。
というわけで主旨はありがたいのだが、申請の段階で実態を伴わない制度だという疑問が涌いてきた。
ここではその手続きの理不尽さについて紹介したい。

自立支援医療制度の申請用紙をケアマネージャが入手してきてくれたときの話だと、区役所の人間は積極的には案内してくれず、根掘り葉掘り聞いたら奥からベテランらしいおっさんが出てきてようやく用紙をくれたという。
それだけでもなかなか不親切な対応ぶりなのだが、その時重要な説明が欠けていた。

続く

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